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「マナトさ、好きな人いるだろ?」
「へ?」
「なんか、そういうオーラが出てる。」
「は?なんですか、それ。」
マナトは動揺し始める。
かわいい奴。
「どんな子?」
「いや、ええっと、その・・・。」
「かわいいの?」
「いえ、年上なんで。」
「へえ~年上、年上がすきとは意外だなぁ。」
ちょっと大げさに驚いて見せる。
マナトは照れている。顔が赤い。
「年上が好きなわけじゃ・・・ただ、その人が好きなだけで・・・。」
うわ~、こりゃマジだ。
藤原のやつ何したんだ。いたいけな高校生だぞ。
「っていうか、ユズルさんだって好きな人いるんでしょう?人の事で遊ばないでください。」
お、反撃に出てきた。そんな事言ったっけ?
「んー、まあね。」
「なんですか、まあねって。」
「俺は可能性がないからさ。」
「ユズルさんが言うと嘘っぽいですけど。」
「いやいや、好きな相手が自分のこと好きになってくれるって結構奇跡な事だよ。」
マナトは一瞬黙る。
「そう・・ですね。本当に、奇跡だと思います。」
「うん。」
なんだ、難しそうにみえてけっこう素直じゃないか。
「おっ疲れ様でーっす。」
ドアをバーンっと開けて、リホが登場。
「お、おお、お疲れ。」
「あ・・・お疲れ様」
なんとなくしんみりしていたので、俺もマナトも面喰らった。
「なんですか、二人とも。暗いですよ。」
「ああっと、リホは元気だな。」
「はい、私は元気ですよ。マナトさんヘルプお願いします。」
ペコっと頭を下げる。
「うん、こちらこそよろしく。」
「えっと、資料って見て貰いました?」
「いや、ごめん。まだ。」
「あ、じゃあ、出しますね~」
リホはテキパキと資料を準備をして、マナトに説明を始める。
なんか、うちには居なかったタイプだな。
「って、感じです。私、こっちのエリア回るので、マナトさんこっちお願いします。」
「うん、了解。じゃあ、さっそく行く?」
「ハイ。」
「じゃあ、ユズルさん。あと頼みます。」
マナトがにこっと笑う。
ふうん、後輩といるとこいつも先輩に見えるな。
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