迷う心3

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さいきん藤原さんには会っていない。 ときどきメールがくるけれど、忙しいみたいだ。 俺は学生で時間にも余裕がある。 余計なことを考えてしまう。 だめだ・・・藤原さんに会いたい。 もっと会いたいって言えたらな。 ああ、俺がこんなガキじゃなかったらもっと自由に動けるのに。 携帯のメールの音。着信音からして藤原さんからではない。 確認する気にもならないが、メンバーからかもしれない。 携帯を開く。 音楽仲間からだ。 ライブか、行ってもいいけど・・・。 そうだな、毎日悶々としてるよりはいいか、たまには歌ってすっきりしよう。 ライブは二週間後。 今度はちゃんと練習しよう。前は調査が入ってて当番もあってで、ろくに練習もしてなかったからな。 そうだ、アツキさんとこにも顔出して、マリさんにもまたチケット渡しに・・・いや、いまはマズイかな。 例のドラッグの一件。 俺が見つけたクリニックから出てきた女子高生、運よくあれが当たりだった。 時間は掛ったけどあの子を探して、上手いこと言って薬を分けて貰ってあのクリニックに捜査が入った。そのあとのことはわからないけれど、もしかしたらまだ片付いていないのかも。 あれ以来あの女子高生には会っていないけれど、体は大丈夫なのだろうか。 あの時点でかなり虚ろな目をしていた。 アツキさんはあの薬には関わっていないと言っていたけど、マリさんは・・・でも、知らん顔するより様子を見に行っておいたほうがいいかな。 ドラッグのことで俺が動いてたことアツキさんに怒られるだろうな。 アツキさんといい、タカヤさんといいユズルさんといい、俺のこと心配してくれる人って結構いるんだな。 親が俺の事を心配してないとは言わないけれど、放置されている分他人が心配してくれるのかな。 そういえば、この前ユズルさんに“好きな人”いるだろって言われたっけ。 俺、そんなに丸出しの顔してんのか、はずかしい。
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