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でも、暇さえあれば藤原さんのこと考えてる。
だめだな、こんなんじゃ。
もっとちゃんといろいろ考えないと。藤原さんの重荷になってしまう。
ユズルさん、自分の恋愛は可能性がないみたいなこと言ってたけど、ユズルさんの好きな人ってどんな人なんだろう。きっときれいな人なんだろうな。
ユズルさんの好きな人こそ年上な気がする。
ユズルさん自身が美人だし、なんとなく大人っぽいからきっと同年代の女の子では満足しないんだろう、なんて勝手な想像をする。
もしかしてユミさんとか。
つい自分の知っている範囲で考えてしまう。
ユミさんは元メンバーでユミさんが引退して、新人のリホちゃんが入った。大人っぽくてきれいな人だった。
ユミさんとユズルさんを並べてみる。
う~ん、なんか違う。
ユズルさんというよりは、ユミさんにはタカヤさんかな。
これも、違う。
ユミさんと並ぶとタカヤさんも子供っぽくみえてしまう。
じゃあ、藤原さんとユミさん。
・・・結構しっくりくる。最悪だ。
藤原さんも本当は、ああいうきれいどころがいいんだろうか。
・・・。
いやなことを思いだしそうになる。
頭に浮かんだ記憶をかき消す。
ライブの当日。
俺はアツキさんのところへ顔を出した。
「お、来たな」
アツキさんは笑顔で俺を迎えてくれた。
怒ってないみたいだ。もう忘れてるかな。
「すみません、いつも。」
いつも通り個人ブースでネイルをしてもらう。
「おまえが元気そうでよかったよ。」
「はい。元気ですよ。アツキさんも元気そうですね。」
「なに暢気なこと言ってんだおまえ。」
こつんと頭を小突かれた。
「この前いってた薬、警察が入ったらしいぞ。」
「え・・・。」
知らなかったという顔で驚いて見せる。
「友達、大丈夫だったか?」
「え、ああ、やめるようには言いました。あれからあまり連絡はとってないっす。」
「そうか。」
ふと気が付くと、アツキさんは俺の左手の爪のすべてに色を載せている。
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