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「なーに、照れてんだ。こっちが恥ずかしいわ。」
「マリさん、来れなかったみたいですね。」
「ん、ああ、そうだな、見てないな。終わったら打ち上げか?」
「はい、たぶん。でも、俺はもう帰ります。」
「は?打ち上げ行かないのか?」
「はい、さいきんはゲストなんで、歌って帰るパターンです。」
「なんだ、それ。」
「いいんです。歌いに来てるので。」
「ふーん、そっか。」
アツキさんが帰るまで一緒にライブを見て、すべてのライブが終わるまでライブハウスには居るけれど、打ち上げはパスして帰る。
明日は、事務所へ行かないと。
11時だっけ。
次の日、10時半に事務所に到着。
もう誰か来てる。
藤原さんだといいな、と思いながらドアを開けた。
「お、早いな。」
タカヤさんだ。
「お疲れ様です。タカヤさんこそ早いですね。」
「うん、暇だったんでな。」
タカヤさんはパソコンの前に座ってデータベースを見てる。
これまでの調査記録でも見てたんだろう。
俺は近くの椅子に鞄を置いて、冷蔵庫を開ける。
お、コーラのペットボトルが入ってる。
飲み掛けってわけじゃないし、名前も書いてない。飲んでしまおう。
俺はそれを取り出して飲む。
「あ、自分ばっかり、俺にも寄こせ。」
タカヤさんが俺に向かって言う。
って言われても、これ1本しかないし。
俺はタカヤさんに歩み寄ってペットボトルを差し出す。
「えー、おまえと間接チューかよー。」
「文句があるなら、コーラは諦めてください。」
「しゃあねえなぁ。」
タカヤさんは俺の手からペットボトルを取る。
「あ、また爪に色付いてる。」
「え、ああ。」
「今回は全部だな。」
「はい、サービスしてくれたらしくて。」
俺の手を取ってまじまじと見ている。
「器用だな。」
「ほんとですね。」
「そうえいば、話し途中だったよな。」
「え?」
「この前・・・」
タカヤさんは俺を見る。
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