迷う心4

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外は夕焼けだ。 静かにドアが開く。 「お疲れ様です。」 久々に見るマナト。 「お疲れ、遅かったな。」 「すみません、補講に引っかかってて遅くなりました。」 明らかに、やつれてる。 「補講?」 「はい、赤点取っちゃって。」 「そっか、そういうこともあるよ。」 マナトは、ははっと笑って見せるけれど元気がない。 「で、調査依頼ですか?」 「うん、そうみたい。資料出しといたから、必要だったら俺も入るよ。」 「?俺がメインですか?」 「ああ、そうみたい。掛ったの、今日の午前中だから。」 マナトは資料を広げて目を通し始める。 ふと顔を上げて俺の方を見る。 「ん?」 「ユズルさんは今日はどうしたんですか?」 「え?」 「どうして、ここに?」 「ああ、えっと、おまえに会いに。」 「俺に?」 「ああ、藤原さん異動になったって。」 「はい。タカヤさんから聞きました。それが?」 「うん。マナト大丈夫かなって。」 「え・・・。」 マナトは驚く。 「あの日、お前が追いかけて来た日。あの日が最後だったんだろ。あれから藤原さんに会ったか?」 「あの・・・。」 「話せた?」 俺は続ける。 「ユズルさん」 「前に、みたんだ。おまえと藤原さんが二人でいるの。」 マナトは手に持っていた資料を落とした。 A4のコピー用紙がハラリとテーブルの上に落ちる。 マナトは少し俯く。
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