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夕飯を買って、事務所のビルのエレベーターの前まで来ると、ちょうどエレベーターのドアが開いた。
ドアが開くと藤原さんが立っていた。
オレは驚いて固まった。
幻?
そんなはずはないけれど
半信半疑で、挨拶をしてみる。
「あ、お疲れさまです」
藤原さんは一瞬驚いた顔をしていたけれど、何も言わない。
目が合ったまま無言。
ゆっくりとドアが閉じようとする。藤原さんはそれをを手で抑え、乗れと言った。
現実だ。
言われるままにエレベーターに乗り込む。
先ほどと同じようにドアがゆっくりと閉まる。
「あの…降りてきたんじゃ」
「お前に用があって来た。」
「あ、すみません。オレこれ買いに行ってて、ユズルさんがいたと思いますけど」
と、オレはマクドナルドの荷物を見せる。
狭いエレベーターの中で二人きり。
いたたまれない。
何か話さないと。
「えっと、オレに用って仕事ですか。」
「あぁ。それもある。」
藤原さんは、俺たちの面倒を見てくれてる刑事さんで背が高くて、スーツがよく似合っていてる。
クールな雰囲気だが、結構情に厚い。
26歳、俺たちの担当刑事の中では一番若い人だ。
藤原さんの手がオレのほうに伸びる。
ドキッとする。
腕を掴まれて引き寄せられた。
顔が近づく。
!
オレは思わず視線を逸らして顔を引く。恥ずかし過ぎる。
それでも藤原さんは唇を重ねてきた。
ぁ…。
唇を重ねるだけのキス。
腕を掴んでいた藤原さんの手が腰に回りさらにオレを引き寄せる。オレの持っていた荷物がガザっと音をたてる。中には飲み物が入っている。落とすとマズい。
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