繋がり1

2/6

450人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
夕飯を買って、事務所のビルのエレベーターの前まで来ると、ちょうどエレベーターのドアが開いた。 ドアが開くと藤原さんが立っていた。 オレは驚いて固まった。 幻? そんなはずはないけれど 半信半疑で、挨拶をしてみる。 「あ、お疲れさまです」 藤原さんは一瞬驚いた顔をしていたけれど、何も言わない。 目が合ったまま無言。 ゆっくりとドアが閉じようとする。藤原さんはそれをを手で抑え、乗れと言った。 現実だ。 言われるままにエレベーターに乗り込む。 先ほどと同じようにドアがゆっくりと閉まる。 「あの…降りてきたんじゃ」 「お前に用があって来た。」 「あ、すみません。オレこれ買いに行ってて、ユズルさんがいたと思いますけど」 と、オレはマクドナルドの荷物を見せる。 狭いエレベーターの中で二人きり。 いたたまれない。 何か話さないと。 「えっと、オレに用って仕事ですか。」 「あぁ。それもある。」 藤原さんは、俺たちの面倒を見てくれてる刑事さんで背が高くて、スーツがよく似合っていてる。 クールな雰囲気だが、結構情に厚い。 26歳、俺たちの担当刑事の中では一番若い人だ。 藤原さんの手がオレのほうに伸びる。 ドキッとする。 腕を掴まれて引き寄せられた。 顔が近づく。 ! オレは思わず視線を逸らして顔を引く。恥ずかし過ぎる。 それでも藤原さんは唇を重ねてきた。 ぁ…。 唇を重ねるだけのキス。 腕を掴んでいた藤原さんの手が腰に回りさらにオレを引き寄せる。オレの持っていた荷物がガザっと音をたてる。中には飲み物が入っている。落とすとマズい。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加