再生1

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リホちゃんは俺の隣に座ると、クリームの入ったのを取って頬張っている。 おいしそうに食べるなあ。 あんまりおいしそうに食べるから、なんだか俺も食欲が沸いてきた。 おいしい、久々に食事がおいしいと思った。 「おいしいね。」 「はいっ。よかった喜んでもらえて、もっと食べてくださいね。」 「うん。ありがとう。」 「今日は、出掛けないんですか?」 「ううん。いまユズルさん待ち。ユズルさんが来たら出るよ。」 「そうなんですか。じゃあ、私もユズルさんが来たら一緒に出ます。」 「うん、もうそろそろ来ると思うんだけど。」 少しして、ドアが開く。 ユズルさん登場。 「あ、アホ・・・あ、間違えた。リホ。」 「なんですか、それっ。わざとでしょっ。」 「あ、ドーナツだぁ、美味そう。」 「そんなこという人にはあげませんっ。」 リホちゃんはドーナツの箱のフタを押さえる。 「ちょっと、口が滑っただけだって。」 「口が滑ったってことは、思ってるってことでしょっ。」 「うーん、そういう難しいこと、俺わかんない。」 「とぼけないでくださいっ。」 「腹減ってんだから、一個くらいくれよ~。」 「しょうがないですね。マナトさん、どれがいらないですか?」 「えっ。」 「マナトさんが食べたくないのをこの人に食べさせます。」 「うーんと、俺はチョコレートが好きなんだけど。」 ユズルさんが口を挟む。 「あんたに聞いてないってばっ。」 「ああ、じゃあ、チョコレート。」 俺は面倒なのでチョコレートを指定。 「マナトさん、甘やかしちゃだめですよっ。」 「マナトと俺は無二の親友だからな、アホの入る余地はねーよっ。」 そう言ってユズルさんはひょいっとドーナツを摘まみあげる。 「ああー、ひどーい。」 無二の親友か。まあ、秘密は共有しているけれど。 三人で事務所を出て、リホちゃんとは駅で別れる。
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