再生1

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早足に彼らが行った方へ進む。 道の先には、廃墟があった。 ここか・・・。 建物の中で明かりが動く。 廃墟の中へ入ったのか。 近くまで行こうと、動こうとしたとき突然腕を掴まれた。 「っひ」 叫びそうになった口を塞がれる。 「しっ。静かに。」 声からして男だ。それも若い。四人のうちの一人とか。 自分の心臓がバクバクいってるのがわかる。 いったい、どこから・・・。 「手離すから、声出すなよ。」 俺は頷く。 「こっち来て。」 男は俺の口から手を離すと、掴んでいた俺の腕を引っ張っていく。 木の陰に隠れるように身を隠して、携帯を開く。 明かりの変わりか。 男の顔が照らし出される。 やっぱり若そうだ、四人の一人ではない。 「これ以上は行かない方がいい。」 携帯の明かりに照らされた男をよく見ると、学生服を着てる。 高校生かよ。 「どういう・・・。」 「ずっと前からあいつらを尾けてたよな。なにしてんの?」 「えっ。」 俺があいつの周りにいたのを知ってたのか。 「そっちこそ・・・何してんだよ。こんなとこで。」 「俺?俺は・・・仕事。」 当たり前のように仕事と言ってのける。 そんなら、俺だって。 「・・・俺もだよ。」 そいつは俺をじっと見る。信用してないな。 「とにかく、ここは危ないから帰れ。来た道を戻れ。」 「どうした。」 別の声がした。大人の声だ。 声のした方を見ると、誰かがこっちへ向かって歩いてくる。 「迷いこんじゃったみたいで。」 高校生が答える。 「はあ?」 暢気な返事をしながら人が寄って来た。 近くまでくると明かりに照らされて、少し容姿が見える。 スーツを着てる。サラリーマン? 背が高い。
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