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4月1日(金)
「ちょっと! それ、どういう事……ですか!」
……私の怒声は、部屋中に響き渡った。
何事かと、他の部の連中まで覗きに来たようだが、そんな事は構っていられない。
「どういう事も何もないだろう」
私の怒りの矛先――班長は涼しい顔でお茶をすすった。
私が怒った理由は、石田の死について。
私は石田の死を目撃した第一人者として、色んなことを聞かれた。
当然、それに異論などない。調べるのに必要だったら、いくらでも答えよう。
だが――肝心の石田の捜査を、私が担当する事は許されなかったのだ。
「どうしてですか!?」
「この前、言っていた事と矛盾するようだが、これは殺人事件だ。高度情報技術犯罪とどうして言える?」
私は押し黙った。
石田の死と、akiの誘拐や犯行声明をはっきりと結び付けるものは何一つとしてない。
これらが無関係だとしたら、確かにただの殺人事件だ。
私だけじゃなく、高度情報技術犯罪取締班そのものが出る幕じゃないって事になってしまう。
私は何か反撃の糸口がないか、必死に頭を回転させた。
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