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4月1日(金)続き
「石田はモバイルファンタジアのエンジニアでした。そして、あの犯行声明。まったく繋がりがないとは言い切れません」
「言葉を返すようだがね。普通、殺すなら石田じゃなくアイドルの方じゃないのか?」
「何が普通かが判断できないから、調査が必要だと言っているんです」
……そう簡単に引き下がるわけにはいかない。
確かに班長の言い分にも一理ある。
だが、石田の死が何も関係ないとは思えない。
ならば――徹底的にそれを調べ上げなくてはいけないんだ。
私の強行な態度に、班長はため息を付いた。
「はぁ……その勝気な性格も父親譲りなのかもしれんな……」
「父以上だと自負してます」
「まぁ、いずれにしても捜査はうちが主体で進めるものじゃない。結果は保証できないが、聞くだけ聞いてみてやる」
「ありがとうございます!」
私は胸の中で小さくガッツポーズをした。
……まずは絶望的な状況は回避できたと言えるだろう。
班長権限でも、これ以上を望むのは難しいだろう。
私はひとまず満足して席に戻った。
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