2章 infinity-zero

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9月17日(土)続き 「……わかりました。何が出来るのかわかりませんけど、やってみます」 「そう。期待はしていないけど、頑張ってね」 私の決意表明も、冷たい声と視線で返されてしまいました。 ……どうしてだろう。いつもはこんな雰囲気じゃないはずなのに。今日のにょろさんはいつも以上に厳しい気がする。 それだけ戦いが厳しいから、テストも厳しくしなきゃいけないって事なのかな。 私がそんな事を考えながらうつむいたままでいると、にょろさんは立ち上がって私の肩を軽く叩きました。 「それじゃ、捜査会議があるから、今日はここまでね。また明日の同じ時間、答えを聞かせてもらうわね」 にょろさんは慌しくソファに置いてあったカバンを掴むと、マスターに何の挨拶もしないでカフェを出ていってしまいました。 テーブルの上には、にょろさんが飲み終えたコーヒーカップ。そこに私1人が取り残されていました。 ――にょろさん、お金払ってないけど大丈夫なのかな。 ひょっとして支払いを私がしなきゃいけないのかも。 それにそれに、このまま何も頼まないで帰るのは失礼かも。 そもそも、こういうお店はやっぱり高いのかな。 ……にょろさんからのテストだけじゃなく混乱した私でしたが、マスターは何食わぬ顔でこっちにやってきてテーブルの上を片付けました。 「テストは生半可じゃないぞ。こんな所で座ってないで、1秒でも早く帰ってどうするか考える事だ」 どうしていいか、わからなかった私にマスターはそう声をかけると、カウンターに戻っていきました。 それを聞いて私はこのままお店を出ても大丈夫なんだと思うと、私は逃げるように店内に出て大きなため息を付きました。 時間にしてたった数分くらいの出来事のはずですが、これだけで1日分の体力を使い果たしちゃった気がします。
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