2章 infinity-zero

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9月19日(月) テスト最終日から翌日。 私はベッドに横になったまま、にょろさんのテストに受からなかった事を改めて考えていました。 自分でも一番驚いているのは、テストに受からなかった事に対して不満を抱くなんて事がまったくなくて、にょろさんの言い分に納得しきっているという事。 悔しいという思いがないわけではありません。私だって役に立てるなら何とかしたい。 だけど――これから求められる人材に凡人はいらなくて、天才だけだとしたらどうしようもない。 私は天才なわけがないし、今から頑張って天才になれるわけでもない。 結局、ここから先は立ち入るなと警告されているようで、そうなると私では太刀打ちできないというのが結論になっちゃうし、強く反論する材料がまったくないという事。 とにかく、これで何もかもがお終い。後は綺麗さっぱり諦めて普通の生活に戻る……と行きたい所なのですが、まだ私にはやらなければいけない事が残っていました。 正直、気が乗るわけではありません。 出来る事なら今日一日ぐらいは家から一歩も出ないでずっとベッドとお友達でいたかった。 だけど、折角の好意ですから行かないわけにもいかない。 「よし、あとちょっと。頑張ろう」 ……落ち込んでいるばっかりだと暗くなってしまう。私は誰もいない部屋で自分にそう言い聞かせて立ち上がりました。 窓から見えるのは、晴れでもなく、雨でもない。一面真っ白な曇り空。 それは、まるで私の心の中みたいです。
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