2章 infinity-zero

34/45
前へ
/658ページ
次へ
9月20日(火) 連日通ったカフェに、私もすっかり慣れてきたように思います。 「あの救世主にも、こんな時期があったよ。連日にょろと会話して、これからどうするだの話し合っていたな」 マスターの落ち着いた声とコーヒーの香り。その両方にくらくらしそうになりながら、私は昨日と同じカウンター席に座っていた。 私がカフェに来て10分ほど。コーヒーもなくなりそうになった頃に、目当ての来客は来ました。 その人はズカズカと私の隣まで来ると、何の断りもなく私の隣に座ります。 「よぅ。久しぶりだな」 暗い店内のはずなのに、眩しいくらいの金髪に鋭い眼光。私なんかが普通なら知り合いになるはずがない人だったけど、この人は見た目の印象が強かったからかはっきりと覚えています。 「如月さん、お元気でしたか?」 ……如月さんは、盗聴会の仲間だった人。収集丸さん達と一緒に仲間になりましたが、私は直接かかわり合いがなかったからあまり印象はありません。 戦いが終わった後、マイウイングを去ってからはどこで何をしているのかもわかりませんでした。 「ぼちぼち、だな」 「あの……どうして、ここに?」 「うまいコーヒーが飲めるから」 如月さんの答えに、マスターは静かに口角を上げて、如月さんの前にコーヒーを置きました。 如月さんはそのコーヒーを、あろうことか一気に飲み干してしまいました。 ……私なんて猫舌だからゆっくりしか飲めないのにとか、おいしいコーヒーならじっくり味わえばいいのにとかそんな事を考えてしまいます。
/658ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1518人が本棚に入れています
本棚に追加