2章 infinity-zero

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9月20日(火)続き 「……如月さん、ありがとうございます」 「ああ?」 如月さんが意外そうな声を上げると、それだけで自然と体がすくんでしまいます。 私は平静を保とうと頑張りながら、その先を続けました。 「どうして私にそんな事を話してくれたのか、わかりましたから」 「……フン。オレはこういう所でこき使われるみたいだからよ。まぁ、いいんだけどな。仲間のためなんだから」 仲間のため。その言葉が胸に響きます。 「マイウイングをやめても、ずっと仲間ですからね」 私の言葉に小さくほほ笑むと、如月さんは席を立ちました。 「ああ、そういう事にしておくよ。エデンの園の連中にも話す機会があったらよろしく伝えといてくれ」 「はい、そうします。如月さんも、新しいチャレンジ頑張って下さいね!」 「そういう事は頑張るヤツだけが言っていい言葉なんだよ……言ってる意味、わかるだろ」 「はい、わかります。私もこんな素敵なナイショの話を聞けて、触発されちゃいました」 「言っておくけど……誰にも言うなよ」 ……ほんのチョットだけだけど、良い雰囲気だったのに私に向けられた凄み一回で全部台無しです。 「は、はいぃ。もちろんです!」 さっと話して、さっと去っていく。如月さんの後ろ姿を追いかけながら、こういう所はにょろさんに似ているのかなって思いました。
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