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3月1日(火)
「蛇の目、ちょっといいか」
「はい」
「新しい事件だ」
「……はい」
盗聴会との戦いも激化の最中、少しでも時間が欲しいところに班長からの仕事の通達。
クビにされでもしたら元も子もない。イヤだけど断るわけにもいかなかった。
「それで、どんな事件でしょうか?」
「アイドルが誘拐されたそうだ」
「えーと……あの。お言葉ですが、その手の事件はうちの管轄じゃないんでは?」
班長は私の反論にもっともだとうなずいた。
「まあ、普通ならそうだな。とにかく、これは決定事項だ。詳しくは調書を見てくれ」
「はい、わかりました」
無理に逆らっても良いことはない。私は素直に引き下がった。
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