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「夫である僕にも言えないことですか?」
体にズシッと重みがかかって、宗助さんに押さえ込まれていることが分かる。
耳元で囁いた声は無駄に甘い雰囲気を含んでいる。
息を吹きかける近さでしゃべっているのも絶対わざとに違いない。
「ち、違います。眠くて……。そう! 眠くてウトウトしてただけです……っ」
渾身の言い訳ももう、何を言っても自分でも嘘くさく感じる。
夫、だなんて。
耳慣れないその言葉がむずがゆくてくすぐったい。
目の上に乗せられたタオルで視界は見えない。
でもその方がいいとさえ思えるのは、目が合ったら恥ずかしさに耐え切れる自信がないから。
なんて照れるんだ、新婚初夜……!
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