第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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ジャグジー付きの広いバスタブに壁側を向いて座っていると、ちゃぷんとお湯が揺れて宗助さんが入ってくる。 もちろん私は背中を向けてるから見えないけれど。 「瑞希、こっちを向いて」 宗助さんの声がバスルームに少し反響して耳に届く。 ドキドキしながら私はゆっくりと宗助さんの方に体を向けた。 密集する花びら達は私の体も宗助さんの体も両方を上手に隠してくれてる。 赤や黄色の花びらは白を貴調としたバスルームを鮮やかに彩っていた。 やっぱり素敵。バラ風呂万歳。 ぽわーっと夢見心地になる。 宗助さんはすっかりリラックスした様子で足を伸ばしてバスタブに背を預けている。 それでもその長い脚が私に触れることはないくらい広いバスタブ。 「ちょっと広すぎるな」 「うん……。落ち着かないかも」
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