第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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そっと肌を寄せるとよほど意外だったのか、宗助さんが目を丸くした。 顔を見られるのが恥ずかしくて、首に手を回してギュッと抱きついた。 しっとりとお湯で濡れた肌が密着する。 先にお湯に入っていたせいか、宗助さんの体温の方が低く感じた。 ドクンドクンと脈打つ鼓動をもう一つ感じる幸せ。 目を閉じるとこのままお湯の中に溶け合っていくような錯覚に陥る。 宗助さんの手の平が背中を優しく撫でる。 何も言わない。 私も、多分宗助さんも、 お互いの鼓動をしばらくじっと聞いていた。 一度、離れた私達はこうしていることが当たり前なんかじゃなくて。 永遠を誓い合えたことは私の中では奇跡だった。
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