第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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その言葉から宗助さんと袴田課長には大学で共通の友人がいるのかもしれないって予想できた。 宗助さんはそれをいつ知ったのだろう。 そしてこのタイミングでどうしてそれを私に伝える気になったんだろう。 ぐるぐると疑念が頭の中を渦巻いて、宗助さんが話している内容を理解するのが一瞬、遅れた。 その隙に宗助さんは次の言葉を続けていた。 「人手が足りなくてパンク状態にあるようです。前会社からの圧力というか牽制などもあるみたいですね」 「……は?」 「元会社からすれば、袴田が同じ顧客から仕事を請けるのは、仕事を持っていかれたと感じてもおかしくないでしょう」 「……」 それはそう……、かもしれない。 課長が元いた会社というのは当然ながら私が勤めていた会社でもあり、とても複雑な気分だった。
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