第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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かけられた言葉に、弾かれたように顔を上げた。 心配なんかしてない。なんて、 そんな嘘はつけない。 言ったところでこの人には絶対に通じない。 「瑞希にそんな表情をさせるの分かってたのにな」 長い指が頬に伸びてくる。 大きな手が愛(いつく)しむように頬を覆う。 宗助さんが私を不快に思ってないことが伝わってきて、それだけでひどく安心した。 ゆっくりと瞬きをして宗助さんを見上げると、宗助さんは少し切なげに私を見つめていた。 キュッと胸が詰まる。 「この話題は避けた方が良かったかな」 そんな呟きと共に肩を抱き寄せられて、宗助さんの腕の中にスッポリと収まった
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