第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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「瑞希が気にしてるみたいだったから、知ってて黙ってるのもどうかと思ったんだけど」 「……うん」 やっぱり気になってることはバレバレだったらしい。 「世話になった上司の行く末が気にならない方がおかしいのに、変な嫉妬心が邪魔してすぐに言えなかった」 「……うん」 宗助さんが本心を話してくれてる。 温もりと共に胸に温かい気持ちが広がって、目を閉じてその声を聞いていた。 それは嫉妬だけじゃないでしょう? 知ってしまえば余計に心配するような事実だったから、言えなかったに違いないのに。 宗助さんが弱い部分を見せてくれることで、愛しい気持ちが深くなるなんて、宗助さんはきっと知らないんだろうな。 真実を口にすることは、優しさなのか弱さなのか。 どっちでもいい。 答えなんてきっと人それぞれで、私は宗助さんが大好きなんだから。
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