第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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同時に「俺と来い、瑞希」のフレーズがぐるぐると頭にリピート再生されて脳みそが沸騰しそうになる。 ……言わなくてもよくない!? それって今言うことじゃなくない!? 頭の中では必死にそう叫んでるのに、それを口に出すことがはばかられる。 もしかしたら宗助さんはずっと気にしていて、やっとの思いで口にしたのかもしれない。 さっきの繊細な一面を見た私はついそう考えてしまった。 下手に傷つけたくない。 言うべきか言わざるべきか……。 「なにって別に……」 口を開くとすぐそこに宗助さんの顔があってビックリした。いつの間にかベッドに座る私を跨(またぐ)ぐように、宗助さんが四つん這いになって顔を覗き込んでいた。 これじゃまるでライオンに押さえ込まれる草食動物だよ……。
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