第1話 ロイヤルスイートな夜【瑞希Ver.】

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すっかり捕食される気分で、おどおどと視線を彷徨わせる。 獲物をいたぶるのが趣味のライオンは、草食な私の髪を手で梳(す)く。 「……キスされた?」 「んな……っ」 そんなわけないじゃん! という言い訳は宗助さんの口内に吸い込まれていった。 彼がキスで私の唇を塞ぐから。 やっぱりこんなこと前にもあったな……なんて思いながらも、私は宗助さんの誤解を解こうと頭を振って唇を離そうと試みた。 「ん……っ、はっ、宗助さ……っ」 繰り返されるキスの合間から途切れ途切れになんとかしゃべろうとするけど、当然上手く言葉にならない。 宗助さんは聞いてきたくせに、私にしゃべらせる気がないみたいでバスローブの紐を解いてくる。 紐だけで閉じられていた頼りない布は簡単にはだけてしまって、私はそれが体の上からなくなってしまわないように必死で押さえた。
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