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手招きされて突っ立っているわけにもいかないから、ダイニングテーブルを通って、宗助さんのいる応接コーナーに近づく。
テーブルの上には氷で冷やされたシャンパンと山盛りの真っ赤なイチゴが置いてあった。
なんだか映画で見たことのある光景だ。
宗助さんのバッグにはドデカいガラス窓に北海道の夜景が広がっている。
まるで宝石を散りばめたような景色に佇む宗助さんは悔しいくらいに絵になっていて、この人が私の旦那さまなんだと思うと目まいすらする。
家柄も地位も捨てても、備えられた決して気品までは損なわれない。
宗助さんはロイヤルスイートルームに景色に自然に馴染んでる。
それを感じれば感じるほどに、私と宗助さんの世界の違いを未だに感じてしまう。
「ホテル代は独身時代の貯金を使いました」
優しく微笑んで慣れた手つきでシャンパンのコルクを開ける宗助さんを私はぼうっと見ていた。
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