生臭さん、狐に惚れられる。

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 めらめらと行く手を阻む炎は踊っているようにも、嗤っているように見えました。 「御仏には全てお見通しということですかね」  いずれにしてもそれは僧には不快なもので、吐き捨てるようにそう言うと彼は燃え盛るその壁に向かって走ります。  息を止めて、目を閉じる。意を決した僧は妖狐を懐で覆ってそれに飛び込みました。  想像を絶する痛みでした。熱いと感じるより早く、皮膚が爛れるような痛みが僧の全身を駆け抜けたのです。 「はぁッ、ぐっ……!」 「馬鹿っ、者めッ……無茶をしおって……」  炎から転がり出た僧は眉をしかめていました。そんな様子を見た妖狐は彼の懐から出ようと思いましたが、彼がしかと掴んだ妖狐を離すことはありませんでした。
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