Act.1 依頼人

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  「……時成ぃぃいいい!!!」 バァン、と勢いよく扉を開けると、時成は飲んでいたお茶を勢いよく噴き出した。 「ど、どうした結季!すごい顔だぞ!?」 すごい顔じゃない鬼の形相だ、という言葉を飲み込み、私は時成の胸倉を掴んだ。 「貴様、女に飽き足らずついに男をお持ち帰りか!!何を考えてる!死にてぇのか?!死にてぇんだな!?」 「は?!…わっバカ!式鬼は反則だぞ!!」 式鬼を呼ぶため印を結び始めた私の手を、時成が急いで掴んだ…その時。 「あのー…」 「きゃああ来たぁ!……って…え、貴方は」 「こんばんは、結季くん。 …と言っても、さっき会ったばかりだよね」 「か、神主さん……」 居間に、風呂上がりでいい香りを漂わせ和服姿で現れたのは、先程まで会っていた、神主さんだった。 え、ていうか…なんで神主さんが私の家に…? なんで風呂入ってんの? つーか、私より先に居るってどゆこと? 「あーワリィワリィ!言うの忘れてた! お前に客だ、結季」 「知ってたのかよっ!こんのバカ成!!」 「あ゙だ!! つーか、お前…大人の男の裸見たからって恥ずかしがるなよ~。俺の見慣れてんだろ」 「黙れこのセクハラ野郎。 つーか、テメェのたるんだ腹見ても何とも思わねぇよハゲ」 「たるんでないもん!それにハゲてません!!」 もん言うな、もんて。 そう思いながら本気で軽蔑の眼差しを向けると、時成は部屋の隅に行っていじけた。…ちょっとやり過ぎたか。 「すみません、神主さん。私、お風呂に入ってきますので待っていてくださいね」 「うん。行っといで」 構ってオーラを醸し出しているハゲ成を無視して神主さんに笑いかけると、私は静かに部屋を出た。 やっぱり神主さんの笑顔は癒されるなぁ。 見た目も若いからか、"お兄ちゃん"って感じがする。 だから…風呂場で見たモノは記憶から抹消しよう。 ぐっと拳を握り、私は一人深く頷いた。 「赤くなっちゃって…。結季くん、可愛いですね」 「だろ?普段は無愛想で毒舌なんだけど、変なところでウブで純情なんだよアイツ」 「まぁ、スレてない証拠ですよ。 それに、仕事をしている時は、私に対してすごく礼儀正しかったですよ」 「……猫かぶりもうめぇからな、アイツ」  
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