壱ノ章

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  妖が視えるようになったのは、確か四歳になったばかりの時だった。 最初は、「それ」が人ならざるものだとは知らずに話しかけ、遊んでいた。 視えない人間からしてみれば、私が一人で遊んで、一人で話し、一人で笑っているように見えたと思う。 しかも私には、そういう「力」がある所為か、「良くないもの」をも少なからず惹きつけた。 「そういったもの」の気配に敏感な子供は私を避け、その様子を見た周りの大人たちは私を気味悪がり、自分の子供を私に近付けさせなかった。 …いつの間にか、人間の友達は居なくなった。 だけど両親は、両親だけは、変わらず私に優しく接してくれた。 ――そして、その優しい両親が死んだのも、私が四歳の時だった。  
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