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「--…ねぇ何してるの?」
まだ寒さが残る春のある日
幼い頃の僕が、桜の木の下で「彼女」にそう話し掛けたのが始まり--。
それは町外れの小さな川辺にひっそりと、そして鮮明に咲き誇っていた。
ここは、町外れだからなのか、それとも川辺だからなのか僕以外の人間を見た事はない。
この頃、普通の生活が-否、人そのものが-嫌いだった僕は、この桜が好きだった。
いや、桜というより子供だった僕は悠然と誰の干渉も受けないこの雰囲気が好きだったのかもしれない。
僕はいつも通り、居心地の悪い「家」というしがらみから逃げるようにここに来た。
「…………?え?」
すると彼女…いや、少女はそこに居た--
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