料理なんてできなくても良いじゃない。

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(-宋次郎side-) 「~♪」 あの家出騒動から半月。 僕はクロに道案内されてまた山に入ってきた。 あのあと近藤さんにおんぶされて道場に帰った僕は、道場でおろおろと待っていた姉上に「よかった」と泣きつかれ、そのあと思いっきり怒られた。 普段おっとりしてて僕に甘甘な姉上が泣きながら鬼の形相で怒るものだから、僕も泣きながら謝ったりして周りの人間は僕たちを慰めるのにわたわたしていた。 『もうおみつさんを心配させるなよ??』 『あ゙い゙・・・。』 近藤さんも僕を怒る気でいたらしいが、余りに激しく怒られてしまったので「怒る気が失せた」と笑っていた。 三日後まだ歩けない僕はまた近藤さんにおんぶさせられて、姉上と道案内役のクロとでまた山に入った。 クロが案内してくれたのは入り組んで迷路みたいだった獣道ではなくて、人が横に三人並んで歩けそうな綺麗な一本道で、急な坂道には階段みたいに段差がついていた。 『前はこんな道なかったのに・・・』 僕たち三人は突然現れた道をクロに黙ってついていった。
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