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2011年8月、道路には学校に向かう子供たちや仕事に出かける人たちが歩いている。
そんな道路沿いに並ぶ家の中の一つ。
そこに、山下 秀亮は住んでいた。
秀亮は制服に着替え、テレビを見ながら朝ごはんを食べていた。
普段ならこんなにゆっくり食べている暇はないが、今日は卒業式のため学校の登校時間が30分遅い。
そのため、秀亮は余裕のある朝を満喫していた。
「今日は一日中晴れか。」
テレビの天気予報を見ながら秀亮は言った。
普通の中学生なら天気など気にもしないが、秀亮の場合は違った。
両親がおらず、一人暮らしの秀亮は洗濯も自分でしなければならない。
だから、一日の天気は重要なのだ。
「秀亮ー、迎えに来たよー!」
ご飯を済ませ、テレビを見ていた秀亮の耳に聞こえた呼び声。
秀亮は時計を確認したが、学校に行くにはまだ少し早い時間だ。
「あいつ…、やっぱり間違えたか。」
秀亮はそう呟くと、玄関に向かい扉を開けた。
先ほどの声の主であろう少女がこちらを向いて怒った顔をしている。
「早く行くよ!カバン持って!」
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