《第1章:卒業の朝》

3/5
前へ
/34ページ
次へ
少女は今にも走り出しそうな勢いで言った。 そんな、少女に対し秀亮はゆっくりと答える。 「優子、プリントに書いてただろ。卒業式の日はいつもの30分遅い時間に登校って。」 優子と呼ばれた少女は、驚いた顔をして言った。 「うそー、じゃあもうちょっと寝れたじゃん。」 「プリントくらい読んどけよ。」 もう少し寝れてたとがっかりする優子を見て、秀亮は笑いながら言った。 「まあ、ちょっと早いけど行くか。準備はできてるし。」 秀亮はカバンを持ち、しっかりと扉に鍵をかけた。 優子はすでに道に出て、秀亮を待っている。 「じゃあ、行こ!」 優子のこの言葉と同時に二人は歩き始めた。秀亮が上を見上げると、 さっきの天気予報の通り、空にはきれいな青空が広がっていた。 「あのさ…」 優子の声で、空を見ていた秀亮は目線を優子に向けた。 「結局、進路どうしたの?」 優子はそう言いながら、複雑な表情をしていた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加