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自分よりもずっと小さい手が先に柚紀の絵の具を拾い上げた。
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
手を伸ばし受け取ろうとしたとき、絵の具を拾ってくれた子供の顔を見て、柚紀の心臓が一瞬止まった。
「ゆ…きか…?」
青い空から降りてきた僕の天使
神様からの贈り物
本当に神様からの贈り物なんじゃないかと思った。
雪歌と同じ顔をした小さな可愛い少女。
「どうかした?」
「いっ、いや…。なんでもない」
改めて白絵の具を受け取りお礼を言う。
「お兄ちゃん、転んだのね?ズボンもびしょ濡れ。お洋服も土だらけだよ」
「あ、うん…」
本当に雪歌そっくりだ。肩まで伸びた髪の一部をぴょんとくくっていること以外は同じ。柚紀の記憶のままの雪歌だった。
「怪我してない?土落とさなくちゃ。私、雪音っていうの」
「雪音…」
当たり前だが雪歌の訳がない。
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