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「お……にいちゃん」
「雪歌?」
今にも消え入りそうな声をたよりに柚紀は必死に妹の姿を探した。
「雪歌っ!」
雪歌は倒れた棚の下敷きになっていた。棚は木製で火が着いて燃え盛っている。
「あつい…」
「大丈夫だよ、雪歌。お兄ちゃんが絶対助けてあげるから…」
こぼれ落ちそうな涙を必死にこらえ、棚をどかそうとする。必死すぎて手の熱さすらも忘れてしまう。
「っ…」
服に燃えうつった火に柚紀は声にならない悲鳴をあげ、シャツを脱ぎ捨てた。
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