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鍔鳴りが時たまする。
それは山道を歩いているからだ。特別整備されたわけでも草木が好き放題茂るわけでもない山道は山頂に近付くに連れて徐々に険しくなっている。
立ち上る木々の隙間から覗く青空に向かって足を進めるも、いかんせん一気に勾配が急になり、最早崖だ。
二つの足だけで登り続けるのは困難になってくれば、両手も駆使して頂上を目指す。
丈夫そうな枝に捕まり自らの体重を支え、這うようにして高所を攻略していく。
それだけ激しい動きをしていれば左右に一本づつ差している剣の鍔も鞘と打ち合っても当然だ。
最後の高所はとびきり大きくて結局越えられず、ぐるりと一周して漸く山頂にたどり着いた。
自分の小柄な体格を恨んだ。
頂には膨らんだ丘があり、両方の剣の上に肘を乗せてながらその丘の上に立った。そこから見渡せる光景を目に焼き付ける。
どこまでも続くと思われる盆地は緑色の森が大半を占めており、山を下ってもまだ森林が続くのだと諦めと覚悟をした。
眼窩に広がる森のほんの一部が禿げていることに直ぐ気付く。円形に木々が無くなり、その中にポツリポツリと何かが建っている。
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