錆鼠

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「あっ蛍だっ!」 店の扉を開ければ 「いらっしゃいませ」も無く 俺の名前を叫ぶ店主。 変わらない屈託無さに 思わず笑みが零れる。 「お久しぶりです大河さん。 暫く来てなかったのに 覚えててくれたんですね。」 「あたりまえだろー、 常連さんの顔は忘れたりしねえよ! それにしても、フリーで仕事始めてから 全然顔ださねーんだもん。 ちょっと心配してたんだぜ?」 思わぬ所で心配をかけていたらしい。 少々驚いた。 「昼飯買うために寄る事が 無くなりましたもんね…。 でもま、仕事も順調ですし 元気にやってますよ!」 おどけて返した返事に 突然顔を近付けられ 思わず一歩後退する。 大河さん、 眉間のシワが怖いです…。 「うそつけ。 ちゃんと食ってねーだろ?」 見事言い当てられてしまえば 返す言葉も出なくて。 .
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