青鈍

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大河さんに言われたように レンジでチンして。 久々に温かい食事。 これなら食べられそうかな? 沢山のパンの中から 2つだけ選んで 先程買った野菜ジュースと供に テーブルに並べる。 いただきます。 軽く手を合わせ、 作り手を思い浮かべながら 1人呟く。 少しちぎって 口に運べばふんわりとした 優しい感触。 でもやっぱりね 感じないんだ。 あの頃、 戦場のような職場で 束の間の休息をくれた あの日常で、 俺の中で唯一と言って良かった 暖かさを感じた あの味が。 大河さん、 ごめんなさい…。 あなたの真心を 踏みにじった気持ちになって。 込み上げる涙を堪えながら 必死にパンを喉に押し込んだ。 .
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