寝起きの君へ

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そうこうしているうちに、もう地面に私達は立っていた。 どうやら無事に降りれたらしい。 しかし私はまだエースにお姫様抱っこされたままだ。 「下ろしてよ」 「君はそうすると仕事に行っちゃうだろ?」 「もちろん」 「久しぶりに会った恋人を置いていくのかー。君ってひどいな」 恋人 という言葉に反応した。 「え?私達って恋人なの?」 「何を今さら言ってるんだよ。俺はそのつもりだったけど、違った?」 私はただ単にエースと恋人関係だということを認めたくなかったのかもしれない。 彼が言う愛の囁きはどこか胡散臭い。 それに元の国に帰らなくてはいけなくて、自分の気持ちに蓋をしていた。 しかし今は違う。 エースのためにこの世界に残ったのだ。 「俺は君のことが好きだぜ。ずっとずっと。君を俺の元に縛りつけちゃいたいくらい…な」 ずっとずっと? ずっとなんてありえるのだろうか。 「君を泣かせていいのも、傷つけていいのも、俺だけだ。俺は君を幸せにもできるし、不幸にもできる。一石二鳥だろ?」 と言うエースの顔からは一瞬いつもの胡散臭い笑顔が剥がれ落ちたような気がした。 そんな彼から目が離せなくなる。 エースをもっと知りたくなる。 やっぱり私はエースのことが好きだ。 だが、まだそう告げる勇気はないから、自分からキスをする。 好き という気持ちをこめて。 その後にアリスが仕事をしたのかアウトドアに連れて行かれたのかはまた次のお話。
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