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「もしかしてアリス?ああ、やっぱりアリスじゃないか!久しぶり!高校卒業ぶりじゃないか?こんな所で会うなんて奇遇だなー。はははっ」
「エ…エース…。久しぶりね。」
実話前方にエースがいることには気付いていた。
気付いていたからこそ、関わりたくないから道を変えたのに。
なのに何故会ってしまったんだろう。
私は今から成人式を行う場となる結婚式場に行かなくてはならないのに、こんなところでこの迷子と会ってしまっては一体いつ目的地につけるのはわからない。
ここは軽く挨拶をして別れるにかぎる。
「君も成人式に今から行くんだろ?」
「ええ、じゃあエース。また後で会場で会いましょう。」
にっこりと笑って立ち去ろうとする。
すると がしっ と腕を掴まれた。
嫌な予感がする。
「ここで会ったのも何かの縁だし、せっかくだから一緒に行こうぜ!」
「いやよ、あなたと一緒に行ったら一体いつ式場に着けるかわからないでしょう?私急いでるのよ」
「あははっ。アリスは相変わらずだなー。高校のときと全っ然変わらない。なんだか安心したよ。」
「変わってなくて悪かったわね。そういうあなたも迷子なところ、全っ然変わってないのね。あとその胡散臭そうな笑顔と爽やかなところも」
「いやだなー、誉めてるんだぜ?君はそのままがいい。ずっとそのままでいてくれよ。」
いつもの笑顔。
でも目は笑っていない。
そんなエースを見るのも本当に久しぶりだ。
「っと俺が迷子だってよくわかったな!こっちだと思ったのになかなか着かなくってさー。建物は見えてるのに、なんでだろうな?はははっ」
ため息が出る。
「ってことで、式場まで案内してくれるよな?」
掴まれた手首の力は弱まらないまま。
私はこうして迷子に捕まってしまった。
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