出 逢 い

2/15
前へ
/75ページ
次へ
「はあぁぁああ?! 密偵? 俺らが? ありえねえ」 「俺だってお前に任せたくなんてねえよ。 口調荒いし、口悪いし、言葉汚いし」 「あんたはいつも余計な一言多いよな。 んで、密偵なんて誰と何すんだ?」 「平助と山崎と島原の芸姑だ」 「………は? まじかよ」 ………俺には無理だ、うん。 別に綺麗でもないし、紫帆みたいに胸がでけえ訳でもねえし。 「て事で無理」 「何が無理なんだよ?!」 「だって俺、別に綺麗じゃねえし、紫帆みたいに胸でかくねえし」 そう土方さんに伝えると、ニヤリと笑って俺を見下しやがった。 「俺がでかくしてやろ―――……、ぐはッ」 ふざけた万年発情野郎に、俺は蹴りを食らわす。 そして文机にあった筆で、顔に落書きを施してみたりした。 「出ー来た、一にでも見せるか」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加