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「じゃあ好きな奴はいるのかよ？」
ありえないだろ、と思いながらも平助に聞いてみる事にする。
………だが、どうやら俺の予想は外れたらしい。
平助の顔は面白いぐらいに赤い。
「――お前、本気で好きな奴いんのかよ？ ……よく、考えて行動しろよ。 相談ならいつでも乗ってやる」
最初はニヤニヤとわざとらしく笑うが、それも直ぐに崩れた。
―――……平助に本当に好きな奴がいるのなら、それは諦めるべきだ。
俺達は、新撰組だとはいっても所詮は“女”。
色事に現を抜かしてもし、隊内に“女”だとばれたら、一瞬にして首が飛ぶ。
――だが、そんな事をやる気は更々無え。
だから、諦めた方が俺達にも、相手にも危害を及ぼさなくて済む。
「……着いたぞ」
「分かってるよ」
自嘲的に微笑む平助を見て、俺の胸までキリキリ痛み出す。
どうやら俺は、平助を大事に思いすぎてるらしい。
……あ、もちろん親友として。
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