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―――元治元年一月 睦月中旬。
「そおぉぉおじいぃい!! てめえまたやりやがったな?! 出てきやがれ!」
大きな怒鳴り声を上げながらどたどたと俺を追いかけてくるのは、土方歳三もとい、豊玉師匠。
―――……ぷっ。
この新撰組の“一応”副長で、もう一人の方は山南敬助。
仏様みたいな人だ。
うん、この人は副長に相応しい。
局長は近藤勇様々。
俺の大好きな兄的存在だ。
鬼と仲が良いのが気に食わないけど。
「ははっ、出てきやがれとか言われて出てくる人はいねえよ!! ま、俺は出てきたけどねー! 面白いし」
俺、いや、あたしの名は沖田総司。
実は女!みたいな?
荒っぽい性格とこの口調で男に見られるけれど、れっきとした女だかんね!
……間違えんなよ?
「おいっ、逃げるな! そこに直れ!!」
「はんっ、やだね! あんたの言う事なんて聞けるかッ」
「あ、総司! 一緒に甘味食べに行きません?」
こいつも、俺と同じ女の藤堂平助。
性格は物腰柔らかいんだが、とにかく毒を吐きまくる。
女装したら、女にしか見えない。
「お、平助。 行きたい!!」
「待て総司!! 俺の句集返せ!」
「嫌だって言っただろ?! じゃあな、土方さん!」
「まちやがれえぇぇええ!!!」
俺と平助が去った後、新撰組の屯所には鬼土方豊玉(俺命名)の絶叫が木霊したんだとさ。
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