127人が本棚に入れています
本棚に追加
ずいぶん、泣いていた。
一刻くらい、経ったのかな。
泣いても悩みは拭えないけれど、少しは楽になった気がする。
「帰りますか」
辛くて辛くて、哀しいけれど。
私には、一緒に笑ってくれる仲間がいる。
戦ってくれる仲間もいる。
………自分の事のように考えてくれる、仲間もいる。
そんな事を考えていれば、ほら。
「紫帆ッ!!」
……蒼だ。
あいつは、私を誰より分かってくれる。
誰より心配してくれる。
大好きな、親友。
「やっぱりここにいた! 探したんだぞ」
「ありがとう」
「ああ。 ……その顔は、少しは楽になったみたいだな」
本当にずっと探してたんだ。
蒼の息が荒い。
「ありがとう」
もう一度そう呟いたら、蒼は戸惑いながら私に目を向ける。
それに何でもない、と返せば、蒼は無邪気に笑った。
――私の大好きな、綺麗な笑顔で。
最初のコメントを投稿しよう!