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「……なあ、ここどこだと思う?」
「私に聞かないでよ。 椿が連れて来たんでしょ」
「これってさ……、いわゆる迷子ってやつ?」
「しか無いでしょ」
手を繋いで走って来たは良いものの……。
……ここ、どこだよ?
隣では紫帆が呆れてる。
「ああ……、椿が方向音痴なの忘れてたよ。 とりあえずごめん」
「――…謝るなよ。 悲しくなる」
本気で謝る紫帆に、あたしは悲しくなる。
だって、忘れてたから。
―――……あたしが、極度の方向音痴だという事を。
「とにかく、適当に歩いて夜までに間に合わせないとね」
「………うん」
またまた手を繋いで、今度は紫帆があたしより先を歩く。
それがすごくしっかりしてて、あたしは静かに微笑んだ。
昨日とは大違いな姿。
……紫帆は、元々しっかり者だから大丈夫か。
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