127人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫌だ、死にたくない……」
まだ、生きたい。
まだ、やりたい事がたくさんある。
死にたくない。
絶対に。
泪が頬を伝うのも気にせずに、あたしは呟いた。
「ねえ、そこで何してる訳?」
「……!」
すぐ傍から声が聞こえて、あたしは勢い良く起き上がった。
「――誰」
「あれ? 警戒心剥き出しなんだ、花魁なのに」
「当たり前です――…ッ」
そこまで言って、口を閉ざす。
だってそこにいたのはあの、冷たい瞳をした男だったから。
「何? 俺の顔に何かついてる?」
「――ついてません」
「じゃあ何でそんな凝視するの?」
「……この間、逢いましたよね?」
最初のコメントを投稿しよう!