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「ああ。 いつものよろしくな」
「分かりました。 藤堂はんは?」
「僕もいつもので」
そう笑顔で注文した紫帆を、あたしはまじまじと見つめる。
すると紫帆は去ってく店員を一瞥して、あたしを見た。
「何?」
「いや、相変わらず紫帆は可愛い顔してるなって」
「蒼(そう)だって綺麗だよ? 口調を直せば」
蒼、とはあたしの本名。
穏やかなのに、グサッと毒を吐く紫帆にあたしはうなだれた。
そしてすぐに、仕返しを考える。
「そういえば紫帆って、胸でかいよな」
「――ッ!」
………やばい。
どうして、こんなに可愛いんだこいつは。
あ、別に同性愛じゃねえよ?
顔真っ赤にして、あたしを睨みつけて来る。
「蒼! はしたないよ!!」
「五月蝿いな、静かにしろよ」
「蒼が変な事言うから!」
「元と言えば、紫帆が毒吐くからだろ?」
そう言って紫帆の頬を抓ると、紫帆はあたしの手を掴んだ。
「いひゃい!」
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