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「はひゃひへ!」
離して、ともがく紫帆を、若干優越感に浸りながら見下ろす。
その様を鼻で笑ってやると、紫帆は手であたしの手を振り払った。
……相変わらず小さい身長。
相変わらず小さい背。
相変わらず小さい身体。
「――全部口に出てるッ! しかも同じ事しか言ってない!」
……や っ ち ま っ た 。
この事は“たーっいせつ”に心の中に秘めておくつもりだったのに、あたしは馬鹿だ。
「………相変わらず蒼は口調が汚くて相変わらず蒼は言葉遣いが荒くて相変わらず蒼は口が悪いよね」
「おい、句読点つけて喋れよ。 息が詰まる。 それに、何だよそれ!? 口の事しか言ってねえじゃん!!」
「何か文句あるの?」
「大有りだ」
「「………………………ふんッ」」
暫く見つめ合っ……いや、睨み合って、お互いに顔を背ける。
でもあたしは直ぐに顔を戻し、また紫帆を見つめた。
―――穴が空く程に。
「何です?」
めんどくせえ、と言わんばかりの声。
あたしって、そんなにめんどくさいか……?
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