刀 の 理 由

6/10
前へ
/75ページ
次へ
「あたしってそんなめんどくさいか?」 「……え? どうしたの、急に」 「だってあからさまに紫帆、嫌な顔するだろ?」 「別にめんどくさくもないし、嫌いじゃないよ。 けど蒼は度が過ぎる」 「し――」 「―――お待ちどおさま! いつものおす」 「あ、ありがとう」 そう言って紫帆が店員に笑顔を振り撒く。 するとその店員は何を勘違いしたのか知らねえが、頬を赤らめた。 ……あたしたちにとって、こんな事日常茶飯事だからどうでもいいけれど。 「そういえば、何で蒼は刀を持つ事にしたんだっけ?」 「んあ? さあ、何だっけな?」 「まさか忘れたのー!?」 「は? な訳ねえよ」 「じゃあ何?」 「近藤さんを守るため」 あたしが刀を持つ事を決めた理由。 それは、少なからず近藤さんの影響だ。 あんな、優しい人になりたいと願っていた当時。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加