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なのに、そんな日々が崩れたのは一瞬で。
あたしが十五になって、少し過ぎた頃だった。
―――土方さんと近藤さんが、血まみれで帰ってきたのは。
「……なあ蒼。 人を斬るって何なんだろうな。 俺は一人の命を奪ってしまった」
そう呟いた声は今にも消えそうで。
あたしは近藤さんを慰める事しかできなかった。
「大丈夫だよ、近藤さん。 近藤さんは何も悪くない。 人斬りでもない。 もちろん、土方さんも」
彼らは、人斬りなんかじゃない。
優しい優しい人間だ。
だってほら、今も人を斬った事、すごく悔やんでる。
だけど、あたしは悔やまない。
近藤さんや土方さんを、あたしの家族に危害を加える奴は絶対に斬る。
―――……戸惑いもなく。
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