刀 の 理 由

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      * * * 「やっぱり近藤さんの為なんだ」 「ああ。 あたしは決めたんだよ。 必ず、強くなるって―――」 「うん、分かってるよ。 大丈夫、蒼の強さは皆が認めてる。 だから泣かないで」 そう言われて初めて、いつの間にか流れていた泪に気づく。 何でかは分からない。 ――…あの日あたしは、決意したはずなのに。 「そう言う紫帆はどうなんだよ?」 これ以上考える事のないように、泪を力強く拭った。 そんな顔で、紫帆を見る。 「私は家柄のせい。 男が欲しかった私の母親は、徹底的に私を男として育てた。 当時は悲しかったけど、今なら母親の気持ちが分かる。 ただえさえ落胤なのに、女だったら余計に疎まれるもん」 「………あたしらって、事情がありすぎるよな。 改めて」 「だよね。 ……そろそろ、帰る?」 「ああ」 「そういえば、総司は帰ったら土方さんの説教だね」 「げッ」 「あは、あははは! 何、忘れてたの?」 素直に句集返しなよ、と平助は言う。 本気で楽しそうに言うこいつに、あたしも静かに笑った。
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