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目的の人物は容易に見つけることが出来た。彼女は未だにモップから水滴を垂らしつつ廊下を歩いていたからだ。
僕は少し離れた位置から付いていく事にする。
本当なら今すぐにでも彼女を怒鳴りつけてやりたいところなのだが、モップを何に使うかへの好奇心が怒りを勝ってしまった。というかそもそも僕は女の子を怒鳴りつけられるほど肝が座っていない。
尾行を続けて分かった事がある。
彼女は僕と同学年である。学年ごとに色の違うスカーフを巻く事になっているからだ。
彼女は僕のクラスメートだ。なぜなら彼女は僕のクラスに入っていったからだ。放課後用も無く自分のクラス以外の教室に入ったりはしないだろう。
彼女は僕の隣席の子だ。なぜならクラスメートであの背丈のポニーテールは一人しかいないからだ。
これでようやく彼女の正体が分かった。だが正体が分かった所でモップの使用用途は未だ不明である。
僕は彼女――竹森箒――の奇行の謎を解くべく教室の扉の隙間からそっと覗き込んだ。
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